サークルクラッシュ!?苦い思い出を描いたツルゲーネフの「初恋」の驚きの三角関係とは

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こんにちは、misakiです。


今回ご紹介するのはロシア文学のひとつ、ツルゲーネフの「初恋」です。


青春の甘酸っぱい恋を描いた…と思いきやそんなことはありません。

最後に驚くべき事実が明かされた時、
ただの恋愛小説と思いきや
思わず苦虫を噛み潰したような読後感に襲われるかもしれない…
そんな小説です。


ちょっと盛りすぎたでしょうか笑


少し前に「オタサーの姫」とか「サークルクラッシャー」とかいう言葉が
流行った時期がありましたよね。

女性とあまり関わったことがない男性達の趣味のグループ
ぽっと女の子が入ってくると、
女の子が一人だけなので他人からすると驚くくらいの特別扱いになってしまったり、
女の子の性格によっては何人かのお相手と付き合ったり別れたりすることで
グループがうまく行かなくなってしまったり…
リアルでそういうグループを見たことは私もないですが、
ネット上でそういう関係を面白がる風潮は結構目にしました。


最近はあまり聞かなくなったので、
ちょっと旬を過ぎたテーマにはなってきてしまうのでしょうが…


実は ツルゲーネフ の「初恋」は、
おそらく現代版として生まれ変われば
この「オタサーの姫」とか「サークルクラッシャー」とか
言われてもおかしくない…そんな内容の話なのです!


純文学なのに「ええ…」という感じですよね。


ですが、初恋の瑞々しさやときめき
それが破られる悲しさや女の子に一喜一憂してしまう恋心は、
読んでいてとても面白いです。


ということで今回は、
現代人にも馴染みやすい ツルゲーネフ の「初恋」
あらすじからご紹介していきます。

あらすじ

16歳の夏、僕は両親と共に来ていた別荘で、見たこともない程綺麗な5つ年上の女性と出会った。彼女に恋する輩は何人もいて、皆が彼女の家に出たり入ったりする…僕もついに彼女の家に招待されることになったが、そこで僕は彼女に恋をしていると気づいたのだった。しかし、ある日から彼女の様子がそわそわとして落ち着かなくなった。僕は直感する。彼女は間違いなく、恋をしている!しかしそれは誰なのか。その日から僕の懊悩の日々が幕を開けることになった。

主人公の少年は16歳という思春期真っ盛り

名前はウラジーミルと言います。


ヒロインの女性は21歳で、
ウラジーミル他彼女に恋する男性たちにとっては
崇拝ともいえる美しさと魅力を兼ね備えています。

名前はジナイーダと言います。


ロシア文学のちょっと難しいところは、
人の名前が長いところと、
愛称で呼ぶことがありますが
その愛称が日本人的には全然違う名前に聞こえるので、
キャラクターを覚えにくいというところにあります。


けれど「初恋」は主要なキャラが少ないので、
テーマとしても、本の厚さ的にも、
一番とっつきやすいロシア文学だと個人的に思っています。


さて、そんなウラジーミルはジナイーダに恋をしますが…
はっきり言うとジナイーダからは全く見向きもしてもらえません


21歳のジナイーダからすれば、
相手はいくらでもいる程モテるのに、
5歳も年下の男子に特別魅力を感じるのは中々難しいですよね。

残念ながらジナイーダのタイプは年下より年上だったので、
振り向いてもらえる可能性は絶望的に望み薄でした…。


ところが、
ウラジーミルが「ジナイーダは恋をしている!」と察した頃から、
なぜかジナイーダはウラジーミルにだけ特別に感情を顕にするようになります。

とても優しく接してきたり、
かと思えば冷たくしたり、
ツンデレ…?と思うような対応にウラジーミルは困惑します。

読者としても、まさか脈ありなのか…?
と思わせるような雰囲気です。


けれど、そんなそわそわした気持ちにも、
やがて終わりが訪れます。

ウラジーミルはある夜、
彼女の家に忍び込むあまりにも見知った男の影を見てしまうのです。


それは何と、彼の父親でした。


こうして再びウラジーミルは、
新たな苦悩の日々を送ることになるのです。 

ツルゲーネフについて


父と子が同じ相手に恋をする。

なぜ、こんな物語を思いつけるのでしょう。

そして、それを美しく初恋の甘酸っぱさを備えつつ、
大人への階段や悲しみを感じさせる名作として描けたのでしょう。


ツルゲーネフは1818年、モスクワ南方で貴族の子として生まれました。

その時代というのは、
ロシアの社会史を重ねて見てみると、
丁度地主貴族文化が崩壊し始めた頃でした。

ですから、 ツルゲーネフはその幼少時
自我や心の形成の大事な時期を、
終わりゆく貴族として迎えることになります。


ツルゲーネフの作品に色濃く影を落とす、
憂愁や悲哀、悲劇性というのは、
こういった生まれを背景としているのだと言われることがあります。


しかし、そんな没落貴族文化の中に生まれたことだけが彼の全てではありません。


ツルゲーネフは生涯を独身で過ごすことになりましたが、
その決定的な理由として、
彼の両親の存在があったようです。


ツルゲーネフの母は、
気丈でヒステリック、
さらに野性的という、
典型的なロシアの女地主と言われるタイプの女性で、
初めての結婚は35歳と当時としては遅めでした。

対して父親は6つ年下の29歳、
情に冷ややかな性格で、
その割に弱気で女好きな軟派者だったといいます。


そんな、暴君女と軟派男の間に生まれたのが ツルゲーネフでした。


彼の作品には、
「初恋」しかり、「父と子」しかり、
少年と父親との確執が深く描かれるのですが、
ここには ツルゲーネフの父親への憧れ、失望、諦観、
そんな多くの複雑な感情が入り混じった世界を見ることができます。


晩年に書いた作品の中で、 ツルゲーネフは「男は弱く、女は強い」と綴っています。

幼い頃に作られた彼の信念は、
その生涯を終える時まで変わらずにあり続けたのだと思います。

実際に読んでみた感想


私が実際に「初恋」を読んだのは高校生の頃になります。

ちょうどウラジーミルと同じ歳の頃ですが、
ウラジーミルに共感できるような初恋はありませんでした笑


むしろ、二十歳を過ぎてから再度読み直すと、
新たな発見に驚いたことがあります。

「初恋」の主人公はウラジーミル少年なのですが、
ヒロインであるジナイーダにとっても
このタイトル「初恋」は大事なテーマなんですよね。


父親のいなかった少女が父性を求め
既婚者で子持ちの男に憧れる…。

他に彼女を好きでいてくれる男達はいくらでもいるのに、
彼女は彼らよりも上記の男を好きになってしまうのですね。


更に父親もまた苦悩する様が描かれています。

決して褒められた男ではないですが、
単なる駄目男というだけでなく
人間的な弱さをリアルに感じさせてくれるところは、
ツルゲーネフ自身の体験が色濃く反映されている部分だと思います。


「初恋」というタイトルの割に、
苦く悲しい読後感を味わうことになる作品。

ですが、どうでしょう。

皆さんは、初恋を覚えていますか?

案外、多くの人にとって、
初恋って思ったより綺麗でも甘酸っぱくもなく、
出来れば忘れてしまいたかったり
何だか苦々しい思い出だったりするのではないでしょうか。


初恋とは本来こういうものだ!
とまで言い切るのは大袈裟ですが、
それでも間違いなく、ツルネーゲフの「初恋」が他人事ではない方もいるはずです。


ぜひ、この「初恋」の世界に、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?

まとめ


今回ご紹介した ツルゲーネフの「初恋」


まとめると

  • 主人公とヒロイン、それぞれの初恋が描かれている
  • 主人公、ヒロイン、主人公の父親という込み入った三角関係が見所
  • ツルゲーネフの特徴「父と子の確執」が良く描かれている
  • ロシア文学の中では破格の読みやすさ
  • 初恋は甘酸っぱいよりほろ苦い


この5つになります。

ロシア文学の入り口として、ぜひ、手に取ってみてください。


それでは今回もここまで読んで下さって、ありがとうございました。

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