「銀河鉄道の夜」にはなぜ2つのエンディングがあるのか?2つのエピソードに込められた宮沢賢治の思いとは!?

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こんにちは、misakiです。


銀河鉄道の夜といえば、宮沢賢治。


宮沢賢治といえば、童話作家。


アニメ、音楽、ゲーム、あらゆるところでオマージュなど、
宮沢賢治の影を垣間見ることができます。


グリム童話のヘンゼルとグレーテルや赤ずきんが
創作のイメージとして多く使われるように、
日本生まれの童話の中では破格の登場率なのが、
この「銀河鉄道の夜」ではないでしょうか?


ですが私の周りでは、
意外と読んだことがないという人も多かったので、
今回紹介してみようと思いました。


一度宮沢賢治に触れてみると、
本当に多くの創作者の方に影響を与えているんだな
ということが分かって、とても面白いと思います。


「銀河鉄道の夜」だけではなく、
多くの名作品を遺していった宮沢賢治についても、一緒に探っていきますね。

あらすじ紹介

学校の中いつも皆の中心で人気者のカムパネルラと、貧乏で冴えない笑い者の僕。真逆の僕達は、ある祭の夜、ひょんなことから夜空を駆ける不思議な列車に乗ることになった。そこで出会ったのは、見たこともない美しい古代の海岸や、砂糖菓子で出来た空飛ぶ鳥、そして沈没船に取り残された幼い兄妹達だった。やがて僕とカムパネルラは、この列車でどこまでも一緒に行こうと約束をするが……


この物語には、二人の重要な登場人物がいます。

それが、主人公ジョバンニと、その友人のカムパネルラ


ジョバンニとカムパネルラは小さい頃は仲の良い友達でしたが、
ジョバンニの父が遠方の漁に出掛けてから帰りの便りがなく、
その為に収入がなくなり貧乏になると、
働けない母の代わりに学校帰り、仕事をするようになります。


そのことで、皆と同じように遊ぶことができなくなり、
周りのクラスメイトにからかわれるようになったジョバンニは、
カムパネルラともあまり関わらなくなっていきました。


カムパネルラも、心根の優しい少年ですが、
どちらかといえば大人しいタイプだったので、
自ら去ろうとするジョバンニを気にかけながらも、
無理やり皆の輪の中に入れようとはしませんでした。


ですから、二人は今ではほとんど会話をすることもなくなり、
お互いにお互いを気にかけているのに、
それ以上は踏み出せないでいるという、
非常にもどかしい関係になっていました。


物語は、そんな二人が住む街で、
ケンタウロス祭という祭が開催される日に始まります。


放課後、
クラスメイトと祭りへ行く打ち合わせをしているカムパネルラと、
それを尻目に仕事へ行かなければならないジョバンニ


そんな二人が、その夜、
別々の形で銀河を走る不思議な列車「銀河鉄道」に乗り込むことになります。


ふたりきり、
誰の邪魔もなく時間も気にせず話せる場所を得た二人は、
幼い頃を取り戻すように懐かしい気持ちになり、
その列車の旅を楽しみます。


銀河の中に咲く竜胆の花畑や、
真っ白な鷺の群れ、
それらを美しく描く宮沢賢治の描写方法は、
他の作家とは違うとても個性的なものです。


金剛石や紫水晶といったような鉱物に例えて、
色々な情景や形を説明していくのです。


この描写が、銀河の旅をとても美しく幻想的なものに見せているのです。


二人の旅は、永遠に続いていくかのように思いますが、
沈没船に沈んだ幼い二人の姉弟とその家庭教師の若者が列車に乗って来てから、
物語は徐々に終章へ向かって動き出します。


ジョバンニはなぜ、この不思議な銀河鉄道に乗ったのか。

カムパネルラはなぜ、ジョバンニと同じ列車に乗っていたのか。


その謎が、最後に明かされます。

この、最後の部分に関しては、なんと2つのエピローグが存在するのです。


そしてそのどちらも、文庫化されているんです。


それは、一般的に第三次稿第四次稿と呼ばれているのですが、
つまり、賢治が作品を書く上で、
三度目に推敲し書き直したのが第三次稿で、
その次に書かれたのが第四次稿というわけです。


ただし、銀河鉄道の夜は賢治が作品を完成させた、とする前に、
病によって命を落とし、未完の作品として現在は世に出ています。


ですから、第四次稿完成したもので、
第三次稿ボツになったシナリオ、
と一概には言い切れないのですね。


ただ、この2つが並べて語られる時、
そこには賢治の境遇と心境の変化がはっきりと見て取れます。


それこそ、宮沢賢治の研究者の方々にとっては
とても重要な研究物になっているようです。


大きな違いを一言で表すならば、
旧版の方には「ブルカニロ博士」という
ジョバンニの明確な導き手が存在するのに対し、
新版の方にはその博士が全く登場しない、という点です。


ですからエピローグでジョバンニは、

  • なぜ自分が銀河鉄道に乗って旅をしたのか
  • どんな意味があったのか
  • これからどう生きていけばいいのか

明確な答えを持つことなく、現実に放り出されるようにして結末を迎えます。


どうして賢治は、ジョバンニにそのような試練を与えることにしたのでしょうか?


そこには、賢治のあるエピソードが関係していたと言われています。


その点をキーワードにして
宮沢賢治とはどんな人物だったのか、
見ていきたいと思います。

宮沢賢治について


宮沢賢治は、明治29年、岩手県の花巻というところで生まれました。

家は質屋と古着屋の商売をしていたので、それなりに裕福な家庭で育ちます。


ですが賢治は、質屋という商売が好きではなかったようです。

優しい心の持ち主だった彼は、
困っている周りの町民達からお金を催促する自分の家に、
嫌な気持ちを感じていたのだと思います。

ですから父とは折り合いが悪く、
そんな彼の一番の理解者は一番歳の近い妹トシでした。


賢治にとって、妹トシは誰よりも大切な理解者だったというのは、
彼の遺した詩や手紙などにもはっきり書かれています。


そんなトシが、賢治26歳の時、病気によって命を落とします

(この時の心を語った詩作「永訣の朝」は、
名作としても現代で輝いている作品です)


「銀河鉄道の夜」は、そんな賢治が、
トシの魂はどこにいったのだろうと、
悲しみから一人北海道の先まで列車に揺られて一人旅をした、
その経験から生まれた作品なのだそうです。


寒い空の、透き通った夜空。


賢治が見た景色は、きっと「銀河鉄道の夜」の列車の旅の中に、
散りばめられているのだと感じることができます。


主人公ジョバンニに訪れるエピローグには、
そんな賢治の気持ちが強く反映されているといいます。


旧版で、ブルカニロ博士という導き手が出てくるのは、
賢治自身がトシの死や自分の命に意味を求めなければならない程、
深い傷の只中にいた…


けれど新版であえてこの導き手を外したのは、
現実には「導き手」など存在してはくれない
自分で感じ、自分の決めたように生きていくしかないのだと、
そのように賢治が考えを変えたことが、きっかけなのだと…


賢治自身が若くして、
「銀河鉄道の夜」執筆中に亡くなってしまったことで、
真の完成形を見ることは遺された私達には出来なくなってしまいました。


ですが逆に、
旧いバージョンと新しいバージョンの2つを目にすることが出来ることは、
とても幸いなことだと思います。


私も、どちらのバージョンも読んでみました。

興味を持った方は、ぜひ、2つの結末を見て欲しいと思います。

読んでみた感想


私が初めて「銀河鉄道の夜」に出会ったのは、
小説ではなくアニメーション映画でした。

ほぼ全ての登場人物が擬人化された猫という設定ですが、
それが逆に非現実性を際立たせ、幻想的な世界観を作っていました。


このアニメ映画で「銀河鉄道の夜」にハマった私は、
絵本、全集、文庫、あらゆる形態で何度もこの小説を読みました。


そのぐらい、「銀河鉄道の夜」には深い魅力を感じます。


ひとつは、その幻想世界を形造る賢治の想像力と独特な描写力


そしてもうひとつ重要だと思うのは、
この物語が二人の少年の友情を描いているところです。


幼かった頃の友情が、年月を経て環境の変化などで変わってしまう。

仲良くいられなくなってしまう。

もどかしい関係というのは、とても共感しやすい題材ですよね。


どなたでも、似たような経験をしたことがあるのではないでしょうか。


「銀河鉄道の夜」に限らず、
小説やアニメ、映画まで、
あらゆる作品でテーマにされることも多いと思います。


この普遍的なテーマと、幻想的な世界。


そして、妹の死が賢治の心に落とした「影」の力が、
「銀河鉄道の夜」をこんなにも美しく優しい名作に仕上げているのだと感じました。

まとめ


今回、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をご紹介させて頂きました。


「銀河鉄道の夜」をまとめると

  • 幻想的な童話の世界
  • ジョバンニとカムパネルラの友情がテーマ
  • 旧版と新版で物語の細部が違う
  • 特に「ブルカニロ博士」が登場するのは旧版のみ
  • 妹トシの存在が大きく影響している

この5つになります。


体系は童話なので、読もうと思えば短い時間でも読むことが出来ます。


時間の無い方でも片手間に幻想世界へ行ってみるのは如何でしょうか?


きっと、とても他では体験できない世界を旅出来ると思いますよ!

それでは、今回もここまで読んで下さって、ありがとうございました。

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